構想
ある友人からキッチンとダイニングで使用するワゴンを作って欲しいと頼まれました。
サイズ的には幅が350-400mm位、長さ410-450mm、高さ710mmということなのですが、細部
に関しては未だ詰めきれない部分が幾つかあり構想として完全にまとまっていません。
私自身も家具屋さんを幾つか周り構造や仕様を調べてみましたが、現在の所検討項目として次の
ような点が上がっています。
1.トップ部にはタイルを嵌め込みたい。
この部分が以外に悩ましい所で、タイルの大きさを決め好みのデザインの物を先に手に入れておく必要があります。
また目地部分に汚れが詰まりやすいので、目地の幅は出来るだけ狭めて汚れが取り除きやすい材質の目地材を探� ��なくて
はなりません。
2.トップ部は蝶番をつけて使わないときには半分の面積になるようにしたい。
トップ部が両折であればあまりない重心位置の問題が片折とすると出てきてワゴンは不安定になります。
トップにタイルを貼るという要望があるので、両折の3分割にするとサイズ決定要因が面倒になるので2つ折としたく、不安定さ
をカバーする機構をどうするか? この辺りを工夫する必要があります。
3.ワゴン下には引出し的な収納部を欲しい。
引出しを作ることは難しくありませんが引出しを出した時の重心移動がこれまた不安定の原因になります。
また如何にも引き出し然とした構造も場違いなイメージになりそうですからデザイン的に� �夫が必要です。
4.トップ部に落下防止の手すり?のような物を取り付ける。
ワゴンの上には陶器類など壊れやすい物が乗りしかもタイルを貼りますから移動時に滑って落下する危険性があります。
従って落下防止の構造であると親切な設計になります。
上記の要望に従い材料の物色や金具類の調査をして次のような途中経過となっています。
本体材料
本体は無論木材ですが好みは色々あるものの、硬すぎず柔らかすぎず比較的きめ細かい木目の木材として栂材を候補に上げています。 色味が白っぽいですからステインで最終的な好みの色を出しやすいと思います。 厚み25mm、幅150mm、長さ2000mmの粗材を縦方向に3分割しカンナで仕上げれば厚み20mm前後、幅 40mm前後の棒が3本取れますので、これを基準に設計を進めるつもりです。 高級材ではありませんから価格もそれ程負担にならないと思います。
キャスター
移動するためキャスターが必要ですが、デザイン的なバリエーションが余りないので継続して物色しています。 車輪の直径は50mm前後となると思います。
ワイヤーバスケット
私が頻繁に使うアトムリビンテックの金具の中にワイヤーバスケットというのがあ
ります。 大きさは、
230mmx360mm
330mmx360mm
330mmx495mm
360mmx530mm
495mmx530mm
の5種類でそれぞれ深さが85mmのものと185mmのものがあります。
このバスケットとは別にレールが用意されており引出し的な使い方が可能です。
これらを採用するかどうか現在検討中です。
落下防止の金具
これもアトムリビンテックのカタログで発見しました。 高さで2種類、通す金属棒
の本数で2種類、仕上げが本金メッキかクロームメッキかのバラエティーがありま
すが、これを採用するか?それとも木製のガードレールみたいな物とするか?を
検討中です。
タイル
恐らくこれを先に決めないと設計が進まないような気がします。
というのは手許にあるINAXのタイルカタログを広げた所、100mm角、150mm
角、200mm角、250mm角、300mm角、多数の長方形など、サイズだけでもか
なりの種類があり設計寸法に直接影響するからです。
またタイルの使用量は本来の使い方よりも遥かに少ないわけで、そのような少量
使用に対し必� �量だけ購入できるのかどうかも不明です。
従ってホームセンターや東急ハンズ等で1枚売りしている範疇のタイルで検討す
ることも含めあらかじめ決定せねばなりません。
(左とその上のワイヤーバスケット及び落下防止金具の写真はアトムリビンテック提供です。)
2003/08/01
構想の続き
その後色々と検討した結果構想がかなり煮詰まってきました。 それらは、
1.使用するタイルは10cm角とする。
10cm角はもっともポピュラーであり、デザインタイル、カラフルなタイルを選びやすく、ホームセンターなどで必要量を購入でき
ます。
2.ワゴントップのサイズを長さ410mmから450mmに変更する。
10cm角タイルを3x4枚の12枚貼ることにしますが、その周りの縁取りを25mm見込むと350x450mmとなるための変更です。
3.ワゴントップの下はワイヤーバスケットと棚板の2段構造。
ワイヤーバスケットは230x330mmで深さ85mmです。 大雑把に計算した所ワイヤーバスケットの上端からワゴントップ迄の
高さは150mm程度、下の棚の上部空間は200mm程度取れますので、使用上の矛盾は起きにくいと思われます。
4.ワゴントップが折り畳み構造のため第五の脚を追加。
ワゴントップは折り畳み構造とし、広げた時には450x700mmの大きなスペースとなりますが、これまた折畳式の第五の脚を
追加し、広げたトップを支えることにします。
以上に従い最終的な構想をイメージとして描いてみたのが左の図です。
左の図をクリックすると拡大図がご覧になれますが、図中点線で示したのは、折畳式のワゴン
トップを開いた場合です。 また空色で塗りつぶした部分がタイル面になります。
前にも触れたように使用材料として25x 45mm前後の栂を柱として使いますが、横方向の補強の
板も適当な厚みの栂を考えています。 栂は柔らかすぎず硬すぎず木目の間隔が比較的狭く緻
密な感じがしますので、木目を生かしたニス仕上げに決めうちです。
製作上組み方としては木工ボンド併用の木ダボによる接合としネジ釘は無論目立つ所には使いた
くありません。 それほど難しい所はないと思いますが、5本脚の高さ調節の考え方が気になって
います。
4本脚の高さを揃えるのは勿論ですが、床というものは決して平らでなく若干波打っているのが普通です。 従って4本脚でもその内1本が床から浮き上がることがありますが、5本脚となると全ての脚が床に接触していることは先ず考えられません。
これはがたつきの原因にな� ��ため第五の脚の部分は開いた時に他の脚より若干長くする手があります。 この時には3本脚で支えることになりますが、3本脚で支える場合にはワゴントップに載せたものによっては重心からの垂線がが3本脚が作る三角形から外れる可能性があり、この場合かなり不安定になります。 (重心についての詳細はこちらで触れています。)
しかhし思考実験ではいくら考えてもこれといった決定打がありませんので、実際に作って実験しながら決めることにします。
2003/09/19
集めた材料と最終設計
●使用木材は栂(米栂ではなく国産の栂)と決めていましたが、いろいろ探したホームセンターで
は良い材料がなかったので(木肌表面の欠陥やそり)、材木屋さんで切り出してもらうことにしま
した。 特に柱部分は定尺の182cmでは2本しか取れないので、2m材としています。
少々高くなりましたがやむをえない所です。
30 x 40 x 2000 4本 (柱5本と横方向の補強)
24 x 30 x 1820 2本 (テーブルトップの縁)
12 x 45 x 1820 1本 (最下段落下防止の縁) 以上が購入した栂材です。
他にテーブルトップの芯材、最下段の棚板がありますが、手持ちのシナ合板端材を流用します。
●キャスターはワゴン移動時に発生するゴロゴロという音を押さえる為に、車輪がウレタンゴムの
ものを欲しかったのですが、事務機、工業用の座金ネジ止め式しか見付からず、脚の断面
30 x 40に固定できませんし、デザイン的にも面白くないので直径40mmのABS樹脂製で、ナイ
ロンスリーブを埋め込んで差し込むタイプとしました。
耐荷重は1個あたり30kgとのことなので充分あると思います。 尚5個のうち2個は回転ロック付
きの物としています。
●第5の脚の開閉に使う蝶番はアングル蝶番という特殊な物を使います。 というのは、第五の脚
を通常の蝶番で固定すると開いた時に第五の脚の柱の角がテーブルトップからはみ出ることが
判りました。
スライド蝶番を使っても同じ目的は達成できますが、柱の幅からしてスライド蝶番を取り付けられ
ないので、この蝶番を採用しました。 本来は24mm厚の扉用ですので、30mm厚の柱の角は
5mm位外側に出っ張りますが、テ-ブルトップの縁までは18mmありますので、テーブルトップ
からはみ出ることはありません。
●タイルは依頼者からの現物支給で、左の写真のような物です。
2つ折となるテーブルトップはそれぞれに10cm角タイルを12枚ずつ貼るということで設計していま
したが、真中2枚を10 x 20cmのデザインタイルに置き換えたものとなっています。
無論このような使い方に全く問題はありません。
●ワイヤーバスケットは予定通りのものを専用レールと共に購入しています。
●テーブルトップを折り畳みにする部分は長さ400mmのステインレス蝶番を使う予定ですが、まだ
購入していません。
●この他にまだ多少の必要部材がありますが、省きます。 購入金額は合計で¥7,000.-程にな
りました。
以上の最終部材寸法に従って設計図を修正しました。 こちらがその設計図ですが、次回にはこれに沿った製作の様子をお伝えいたします。
とボードの仕事をどのようにアイロンません
2003/09/26
製作開始
この作品は外観優先でニス仕上げとするため、ネジ・釘を全く使わず木工ボンドと木ダボだけで接合します。 プロであればホゾ接ぎということになるのですが、加工の敷居が極めて高くなるので採用しません。 接合時に密着度を上げる必要がありますが、手持ちのクランプやハタ金ではサイズが小さくて使えません。 50cmクラスのものが必要になるのですが、最も安いハタ金ですら1本¥1,500.-はします。 最低でも6本ないと心もとないですが1万円近くもそのために出費と言うのも面白くないので、何らかの代案を考えねばなりません。
一方30 x 40の角棒だけで組上げてお終いというのでは余りにも芸がなさ過ぎますので、柱などの形状を何とかしたいと考え、トリマーを新調することにしました。 トリマーについては15年近くも欲しい欲しいと考えながらも、ケチな私は絶対的な必然性がないとして見送ってきました。 というか日曜大工に使う材料として圧倒的にシナ合板が多かったために木口部分のお化粧なんてあまり重要視しなかったと言った方が正しいかもしれません。
大型作品も一応終了し小型作品が多くなると費用と言う点でムク材が登場することもありますし、ここでトリマーに投資しても大きすぎる贅沢ではないとも考えています。 おまけに私の好きな現品処分にめぐり合った点も大きかったです。 リョービのTRE-55というモデルです� �、標準小売価格¥30,000.-で店頭の実売価格が¥19,800.-が、現品処分消費税込みで¥15,000.-でお釣りが来ましたから格安だったと思います。 その分良質と思われた高価なルータービット4本を奮発しました。
最初の加工作業は材料の切断で、それぞれの長尺材から以下のように8寸目ゼットソーで切り出しました。
30 x 40 の角材から
長さ334mmを4本、296mmを3本、235mmを4本。
12 x 45 の板材から
長さ334mmを2枚、235mmを2枚。(但しトリマーで幅6mm、深さ3mmの溝を掘った後に)
24 x 30 の角材から
長さ450mmを4本、350mmを4本。(但しトリマーで幅と深さが6mmの溝を掘った後に)
上記中トリマーで溝を掘る理由は下図のような天板と底板の構造から来ており、ネジ・釘を全く使わない接合法で組上げようとしている苦肉の策であり早速トリマーの出番です。
言うまでもなくトリマーの使用については私は全くのど素人ですが、トリマーというのは片手で持てるフライス盤のようなもので、フライス盤に関してはその昔学生時代に実習でかなり使いこなした経験がありますから、いきなりとはいえ結構うまくいったと思います。 但し構造的にブレが出易いですから、精密加工するにはまだまだ慣れが必要で、皆さんにその辺りをお伝えできるのは先になります。
溝� �りを必要とする部分は以下の図をご覧になればご理解できると思いますが、要は5.5mmの周りがやや大きめの合板と他の合板を貼り合せることにより、ホゾのような感じで周りの枠に挿し込んで固定しようとの魂胆です。
今回始めてトリマーを使う私は四苦八苦の上で何とか使えそうな溝切りが出来ました。 | 上の図に従い溝切りした角材断面。 まあまあですが? | |||
なかには実用上支障がないものの切削中にガイドが外れてこんな失敗もありました。 | 切断し終わった角材。 別に合板も数枚使用しますが以外に部材点数があります。 | |||
註): 角材の切断は直角の精度が極めて大事です。 私が愛用している高さ42cmの作業台はノコギリで正確な切断 をするのに適切な高さですが、以下の写真に見られるような方法で精度の高い切断を実現しています。 | ||||
曲尺で2面に切断する位置を引き、真上やや前方から両方の線が見えるように立ちます。 | ノコギリの側面に親指の爪を当てノコギリが左右にぶれないようにしながら数ミリの切込みを入れます。 | |||
真上やや前方から線全体を見てずれないように調整しながらノコギリを引きます。 この時肩の力を抜き直線運動に心がけます。(力は不要です。) | ノコギリを引いている所のアップ。 予め引いた線どおりに切り込めています。 |
2003/10/03
木ダボ穴あけとトップボード枠の45度切断
同時進行しているペイント塗装作業の合間をぬって、トップボードの枠の角を45度に切断する作業、更に柱・枠を接合する為の木ダボ穴あけを済ませました。 実際の所頭の切替が大変で油断すると致命的な失敗をする危険性がありますが、無事進行しています。
45度の切断には自作したジグを使用しました。 ジグの構造や図面はこちらで紹介していますの
で参考にして頂けたらと思います。
市販にある45度切断ジグは木、プラスチック、金属などで出来ており、プラスチックや金属製はデリ
ケートなゼットソー8寸目の刃を傷めてしまいます。 また切断する材料を固定できる物はまずあり
ませんから使いやすいとは言えません。
自作した物は自画自賛ながら安いだけでなく材料がしっかり固定できるので、精度の高い切断と
使い勝手の点で遥かに優れています。
折り畳み式のトップボードは45度に切断した枠を接合する時中に板を挟んで固定しますが、先日トリマーで彫った溝が位置決めと接合強度アップに役立ちます。
本� �枠は全て木ダボ接合ですが、底板の落下防止枠を除き各接合部に8φ30mmの木ダボを2個使用しました。 底板の落下防止枠は12mmしか厚みがありませんので、ここだけは6φ30mmの木ダボを使用しています。
木ダボ穴あけの勘所はアマチュア的手法 /塗装編にて解説していますので、そちらをご覧下さい。
以上を踏まえた加工の様子は以下のとおりです。
45度切断ジグを使ってカット中のトップボード枠。 | 切断途中のクローズアップ。 高精度で作業性も良いです。 | |||
45度切断が終了した8本の枠の材料。 | 枠を四角に並べました。 上方内側に見える溝に板が嵌り込みます。 | |||
こちらは短面の木ダボ穴あけが終了し仮組立した左右の枠です。 | 前後の枠も追加し最終的な形になりました。 | |||
短面手前側はこのようにワイヤーバスケットが入る構造です。 | 下の枠は底板面に入れたものが滑り落ちない為の物でもありますが、ここに見える溝に底板が嵌りこむ予定です。 |
2003/10/10
化粧加工と塗装前の仕上げ
まとめてペイント塗りが終了しましたので、やっとワゴン製作に専念できますが今週はそれ程時間が無く、化粧加工は終ったものの仕上げ作業は現在まだ進行中です。
今回使った角材は30 x 40mmのものですが、横方向の棒は厚みをカンナで2mm薄くしました。 というのは、柱の角はカンナで面取りしますので横の棒の厚みを若干薄くしてやらないと接合した時に柱の面取りした部分で横棒がはみ出てしまう為です。
手カンナで2mm削るのはちょっとした大仕事になりますが、時々ノギスで厚みを確認しながら、まずまずの出来栄えになったと思います。 この作業を電動カンナでやる手もありますが、デリケートな切削が難しいのと切削面に回転刃による細かな段差がついてしまい後でペーパー掛けする時に苦労します。
"トップハングシャワーのドア"
化粧加工というと大袈裟ですが、折角電動トリマーを購入したので練習も兼ねて単純ノ
ッペラボーではない外観にしようという程度のものです。
4本の柱の外側に面している角計4箇所と第5の脚のやはり外側に面する角4箇所を、
トリマーで削りました。
使用したビットはサジ面のビットで角を凹面状に削ってくれます。 ボーズ面という角を
丸く削るビット、銀杏面というボーズ面に段差を加えたビットも既に購入していますが、
角を凸状に丸くするのは良く見かけるので逆をやってみようとサジ面を選んだ次第です。
但し柱全体を削ろうとすると一番端の部分の直線性が悪くなりますので今回は電動トリ
マーの台座の端と柱の端が一致した所から切削することとしまし� ��。
その他の角はカンナでごく普通の面取りを軽く施しただけです。
トップボードは45度に切断した枠材を組立てる時に5.5mmの合板を挟んで組立、塗装後に枠内の厚み調整の為合板を貼り重ねる。という変な工程で進めますが、これは組立精度を優先しようとの考えから来ています。(45度接合精度が鍵なので)
ここで使った45度接合のジグは特殊サイズの額縁でも触れたようにしかるいいかげん!な代物で後掲の写真で見れますが、
ビニールテープを6枚も重ね張りしないと直角が出ない?という欠陥品ですが、捨てるわけにも行かず騙し騙し使っています。
仕上げ作業についてはニス塗りの前作業ですから#240のペーパーで表面を研磨するわけですが、これも時間が掛かるのを承知 の上で、電動サンダーではなくペーパーを木片に巻きつけた手作業としました。 その理由は電動サンダーで研磨すると端の部分がより研磨されてだれると言うか断面がカマボコ状になり易いからです。 当然ながら作業効率は悪く大変時間が掛かりますが、表面を反射光で見て始めて判るような細かな段差や粗がなくなるまで根気よくやります。
多分全材料のペーパー研磨にはほぼ1日近くを要すると思いますが時間不十分でその途中でストップということになりました。
私が購入したリョービの電動トリマーTRE-55 評価はまだまだ??? | 角の化粧加工用ビットの一例で、左からボーズ面用、銀杏面用、サジ面用。 | |||
サジ面用ビットで柱の角をこのように削りました。 柱の端まで削ると直線性が悪くなるので途中で止めています。 | 左の横棒は厚みを2mm薄くする為手カンナで削りました。 これは結構大変で最も時間が掛かります。 | |||
判りますか? カンナで削った面ですが、仕上げカンナでない為未だ面は粗いです。 | 別な部分ですが#240ペーパーで丹念に粗さを落しました。 これには大変時間と根気が必要です。 | |||
トップボードの枠の組立開始。 先ずL字型に接着ですが、ジグの一部に見える白い物?は6枚重ね張りしたビニールテープです。 | ビニールを6枚重ね張りしてご覧のとおり直角が出ています。 このジグは欠陥品としか言いようがありません。 | |||
2組のL字型の内側の溝(トリマーで彫ったたつ)に5.5mmの合板を挟み接着しました。 | 2組のトップボードはこの後成形して塗装に入ります。 捻れゆがみも無く精度の高い出来栄えです。 |
2003/10/17
仕上げの続きと塗装
先週に引き続き塗装前の仕上げ作業を続行しました。 トップボード上面の全ての角は半径6mmのR加工(アールかこう)としましたが、最初に4つの角をヤスリで成形した上で上縁周りをトリマーにボーズ面用ビットを取付け、一気に角を丸くしました。 その後に#240のペーパーで丹念に磨き上げて仕上げ終了です。 全ての棒材は仕上げ研磨の後に両端に軸細コーススレッドネジ75mmを軽く打ち込んでやりその後ニス塗りをしない突合せ部分をマスキングテープで覆ってやります。
今回ニス塗りの作業はワゴン以外に、折り畳みテーブル、防湿庫の扉、ミニタワースピーカーの台座の合計4作品分を一緒にやりました。 例によって使い捨てとなる刷毛がもったいないので小さな� �品は塗装が後回しとなっていたための処置です。 また今回のニス塗りの特徴は生地のまま塗装しステインによる着色は一切していません。 同じ木材でも切り出した部分(芯に近い材料かそれとも表皮に近いか)によってニス塗り後の色は随分変わります。 無論木材が変わればニス塗り後の感じはぐっと変化します。 着色しないとそれらの変化の程度も大きいので、変わる様を見るのも楽しみのひとつといえます。
先日ニス塗りについては詳しく解説していますから今回はかなりはしょった紹介としますがその過程は以下の写真でご覧下さい。
ここで、iは、ビーチプールのテントを買うことができますか?
私のやる角の成形作業。 先ず木工ヤスリ粗目で斜めに角方向に軽く削るが、突合せ側にバリが出そうになったら止める。 | 反対側を同様に角に向かって粗目で削る。 これを各2回ずつ繰り返す。 | |||
こうして角はこのように成形されました。 | NTドレッサー細目で更に丸くなるよう削る。 削る方向はやはり角に向かってやる。 | |||
ほぼ丸くなった角ですが、この後は#240ペーパーで更に仕上げます。 | 角成形後ボーズ面用ビットで上縁を成形し更に#240で研磨が終了した状態です。 | |||
折畳式テーブルを一度解体し#240ペーパーで研磨しました。 | こちらはミニタワースピーカーの台座ですが、スピーカー本体を接着する位置に線を引いておきます。 | |||
こちらは防湿庫の扉。 #240で仕上げ研磨を施しました。 | 各部材のニス塗装の境界にマスキングテープを貼りました。 | |||
塗装準備終了の第一会場(AVコーナー)。 | 第ニ会場は個室1を使いました。 折悪しく雨天ですが室内で塗装しますから関係なし。 | |||
2回塗りが終わり乾燥中の第一会場の様子です。 | こちらは第二会場。光の当り方が違いますが塗装後の色の変化は判ります。 | |||
ワゴン用の棒は例の方法で一度に塗装OK. 乾燥する場所も狭くて済みます。 | 2回塗装後のクローズアップ。 色が判るよう反射を押さえて撮影。 | |||
同じ部分を艶の具合が判るようにして撮影しました。 | 塗装後のテーブルトップですが、塗装前のこちらと比較してください。 |
2003/10/24
組立と残る加工
いよいよ組上げを開始しましたが、3組の枠を組上げてそのうち2組をさあ接合しようと当ててみた所僅かな柱の反りがあり上下の横の棒との間に隙間が出来る事が判りました。 調べてみた所下の横棒との間に隙間が出来ないよう押し付けると一番上の横棒と柱の間には1.5mm程度の隙間が発生します。 このまま接合したのではみっともないだけはなく接合強度も低下します。
さあどうすべえか?と暫し考えました。 一番確実な方法は大型のクランプを買ってくれば良いのですが、なんと4本で4万円近くの出費となることが判り暫し善後策を考えました。 そして¥1,000.-以下の投資でクランプを自作する方法を思い立ち実行に移しました。 その詳細はこちらを お読みください。
うまいソリューションにより無事本体枠の接合は完成し、ワイヤーバスケットレールの取り付け、キャスターの取付け、トップボードの取付け、第五の脚の取り付けときたのですが、な!なんと! 第五の脚を折り畳んだ時にそのキャスターが本体のキャスターと干渉しじゃれあってしまうではありませんか! 実はアングル蝶番を始めて使ったため当初考えていた取付け方では格好悪いなあと思い、位置を移動した為キャスターの絡み合いが出てしまったのです。 アングル蝶番の取り付けには座繰り加工が伴うので今更アングル蝶番の取付け位置を元に戻せません。 いささか頭もかっかとしてきていますので今週はここで止めました。
(少々頭を冷やせばもっと良いアイデアが浮かぶかもしれ ません。)
本体組立開始。 先ず柱に木ダボをボンドを塗った上で叩き込みます。 | 接合される横棒にボンドを塗り挿し込みます。 | ||||
その横棒の上端にボンドを塗って木ダボが挿し込んである相方の柱を接合。 | 捻じれが出ないよう調整、また直角が出ているかを確認した後はみ出ているボンドを濡れ雑巾で拭き取り5時間寝かせます。 | ||||
| |||||
それぞれの枠に木ダボをボンド併用で打ち込んでおきます。 そして枠のひとつに横棒と現物合わせで切り出した底板をはめ込みます。 底板はトリマーで彫った溝に落とし込むだけです。 | 相方の枠を横棒の木ダボ穴に順次差込みこぶしで叩き込んでから、自作大型クランプで上下を挟みナットを締め上げました。 | ||||
挟んだクランプを横から見た所。 ここに見えるナットを締め上げるわけです。 | 上から見た所。 ズン切りボルトはワゴン本体に接近させています。 この方が締め付けがうまく効く為です。 このまま完全硬化するまで寝かしました。(12時間) | ||||
接着が済んだ本体の脚に13φのキリで深さ40mmの穴をあけます。 | そこへプラスチックのソケットを差込み玄翁で叩き込みます。 | ||||
キャスターをカチッというまで差し込めばOKです。 | キャスターが取り付きだいぶ格好がついてきました。 | ||||
断面がコの字型のスライドバスケットレールを所定の長さに切断して固定しました。 | スライドバスケットが想定どおり収まりました。 | ||||
トップボード上面に端材の12mm合板を貼り付けかさ上げしました。 この上にタイルを貼るとタイルの面は縁より1mm沈む丁度良い位置になります。 | トップボード裏面に厚さ5.5mmの小さな板をスペーサーとして貼り付けました。 | ||||
これを本体枠の所定の位置に載せて、50mm軸細コーススレッドネジで上から固定しました。 このネジはタイルをこの上に貼る為全く見えなくなります。 | 第五の脚にアングル蝶番を取り付けるため、35φフォスナービット、ノミ、木工ヤスリを使い削りました。 | ||||
アングル蝶番を仮固定した所。 左側が本体、右が第五の脚で内側から撮影しています。 | これは外側の角で左側が第五の脚、右が本体ですが、ご覧のように設計時と異なり第五の脚が左に19mmずれて取付けられています。 | ||||
アングル蝶番は上下2箇所に取り付けられています。 | 本体とたたまれる2枚のトップボードを蝶番で連結しました。 | ||||
トップボードを開き第五の脚で支えた所でしかるうまくいったようですが? | トップボードを畳むとご覧のとおり第五の脚のキャスターが本体のキャスターとじゃれあってしまいこのままでは駄目。 |
2003/10/31
最終作業
じゃれあってしまうキャスターをどうするかで始めは第五の脚の横幅を詰めてやるべく横の棒を所定の寸法に短く切断して柱に継ぎなおそうと考えていました。 これはかなりの何作業になるのと。折り畳まれるトップボードを支える位置がかなり内側に入ってしまうので面白くありません。
ところが家内が突然「そんなことしなくてもキャスターだけ内側に移動すれば?」と言い出しました。 考えてみればおっしゃるとおり! 測ってみると横棒を1本追加すれば丁度うまい具合になります。 調べてみたらおあつらえ向きの柱を切り落とした端材がありました。 少々癪に障りますが家内の言うことは理にかなっているのでこの方法でキャスターを移動することにしました。 念のた めにキャスターとキャスターが絶対にじゃれあわない距離を調べましたら90mmとでました。 これに従い加工し無事この件は解決しました。
残る作業はどうということもなく、第五の脚の先にローラーを取付け、脚を開いた時のストッパーとしてマグネットキャッチを取付け、タイル貼りを済ませました。
タイル貼りするのは初めてなのですが、ホームセンターに行きタイルを貼る材料を調べた所、どうやらエポキシ樹脂系の接着剤が主流のようです。 しかしエポキシは硬化後の柔軟性がないのと使う量が多く高価ですので、変性シリコーンを使った接着剤を使うことにしました。(柔軟性を求めたのは、万が一テーブルトップの撓みが発生したとき柔軟性がないとタイルが剥がれるか割れるかの問題が起きるのでは? と考えた次第ですが、特に根拠があるわけではありません。)
変性シリコーンというと要するにコーキング材とほぼ同様のはずです。 何処が違うのか良く判りませんが、熱や水にも強いとありますので一応メーカーの能書きを信じることにしました。
目地についても材質をどうするか悩みました。 タイルの目地にはセメント系の目地材が多く使われますが、撓みでひびが入りやすいのでシリコーンコーキング材を使うことにしました。 この場合も乾燥後でも汚れがつきやすいという欠点がありますが、他にこれならばという決定打が見付かりませんでした。
ということでようやく完成したワゴンですが、実作業日数としては5日間位でしょうか? 個室2の収納家具を製作中に始め、6点ほどの作品の塗装も間に入っ� �いますので1ヶ月ちょっと掛かりましたが、正味はそんなものだと思います。
ということで最終作業の様子は例によって以下の写真をご覧下さい。
家内の一言が改善の決定打となり、端材から追加する横棒を切り出し、ニス塗りを済ましました。 | 接着剤を使えないので75mmの軸細コーススレッド5本で固定。 白く見えるのは新たなキャスターソケットで右のキャスターとの軸距離は90mmあります。 | |||
再度第五の脚枠を固定しました。 キャスターの最接近間隔は約3mmで無論接触ナシです。 | こんな小さな戸車を見つけ第五の脚の上部先端に取付けスムーズに脚が動くようにします。 | |||
第五の脚の先端に13φの穴をあけ戸車を瞬間接着剤で固定しました。(ネジを使うと木口が割れる危険性があった為。) | 脚を横から見るとこんな具合。 脚の右側をカットしたのは、蝶番が当る為です。 また透明な丸い物は柔らかい当り止めです。 | |||
左から戸車、蝶番が固定されその右にマグネットキャッチを取付けました。 | こちらは折り畳まれるテーブルトップの裏に固定したマグネットキャッチの受けの部分です。 | |||
第五の脚を開くとマグネットキャッチの受けのブロックで開きがストップします。 | ワゴンを逆さに床におきました。 マグネットキャッチの受けはこのように取付けられています。 | |||
タイル貼りの下準備で貼る位置をシャープペンで書きました。 タイル幅は正方形が98 x 98mm、長方形は198 x 98mmでタイルとタイルの間隔は2mmとしています。 | タイル貼りに使った接着剤。 変性シリコーン系ということはシリコーンコーキング材と同じなのですが、何処が違うのかは??? | |||
説明ではビード状に塗れとあるのでこのように塗りつけ書いた線に従って押し付けて行くだけです。 | タイル貼りが終了しましたが、実用強度に達するには1日から数日掛かるということですので、目地の処理は翌日ということにしました。 | |||
第五の脚上部の角がテーブルトップを畳む時蝶番に無理が掛かるような当り方をする為丸めました。 | 底板は5.5mmの合板2枚重ねですので、所定の寸法に切断しニス塗りをした上で貼り付けました。 | |||
今回使った目地を埋める為の変性シリコーンコーキング。 150gで若干余る丁度良い量でした。 下に見えるのは余分なコーキング掻き落としと表面をならすヘラで、先端が薄くて丸くなっています。 | コーキングを打つ境目にマスキングテープを貼り付けます。 タイルの縁に沿って貼りました。 | |||
マスキングテープが目地を覆う部分はカッターナイフで切り落とします。 | そしてコーキングを搾り出し目地に埋め込みます。 | |||
コーキングを埋めこんだら直ぐにヘラで余分なコーキングを欠き取り、目地表面をならします。 | そしてマスキングテープを剥がします。 初めてチャレンジしましたが、かろうじて合格の仕上がり状態でしょうか? | |||
註): コーキングを打ったらだんだん固まってゴム状に硬化しますが、メーカーの説明では完全硬化には5日掛かるということですので、これで全ての作業 は終了しましたが数日間寝かせてから引き渡すことにしました。 | ||||
完成したキッチン用ワゴン。 途中であせった問題はあったものの、依頼主希望の寸法や構造どおりに仕上がりました。 | ||||
折り畳んだ状態で標準ではこの状態で移動しますが、トップを開げたままの移動もOKです。 | トップボードを広げると幅700mm、奥行き450mmの大きなスペースになります。 |
最後の工程のタイル貼りは私にとって初めての作業でしたので結構緊張しましたが、まずまずの出来栄えだと思います。
かなり気合を入れて作業したつもりですが自己採点は70点くらいでしょうか? 依頼主に満足してもらえると良いのですが。
----- 完 -----
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