以下、図面を参照し、この発明の実施の形 について説明する。
図1は、この発明の実施形態に係る単室型真 空熱処理炉Aの全体構成を示す図であり、図2 、図1におけるA-A線断面図である。なお、図 1は、加熱室Rを密閉した状態を示しており、 2は、加熱室Rを開放した状態を示している
図1に示すように、単室型真空熱処理炉A 、炉本体1と、加熱装置2と、冷却ガス供給装 置3と、減圧装置4と、冷却装置5と、冷媒循環 系6と、制御装置8とを備えている。
炉本体1は、炉壁11により略円筒形状に形 され、内部に被処理品Wの処理空間Sが形成 れている。この炉本体1は、中心軸(上記円筒 の中心軸)が水平となるように、下側に位置 る脚部17を介して床Fに設置されている。
炉本体1は、容器胴部12と炉扉13とロック機 14と冷却ジャケット15とを備えている。
容器胴部12は、炉壁11aによって構成され、 方の端部が開口部12aとなった略円筒形状の ので、加熱装置2等を容器胴部12の内部に収 すると共に開口部12aから被処理品Wが搬入、 出される。図2に示すように、この容器胴部 12の内部下方には、開口部12aから他方の端部 傍まで、炉本体1の中心軸方向に沿って互い に平行に形成された二つの平行床部12bが形成 されている。また、開口部12aの周囲を囲む炉 壁11aには、フランジ部12cが形成されている。
炉扉13は、炉壁11bによって構成された略 盤形状のもので、開口部12aを開口・閉塞す 。この炉扉13の周縁には、開口部12aの閉塞時 において、フランジ部12cと重なるように形成 されたフランジ部13aが形成されている。
ロック機構14は、炉扉13による開口部12aの 閉塞およびその解除を行う。具体的には、フ ランジ部12cとフランジ部13aとに係合するクラ ンプリング14aとクランプリング14aを締め付け る駆動機構14bとからなり、フランジ部12cとフ ランジ部13aとを密着させた状態で強固に固定 し、容器胴部12を密閉することが可能である
冷却ジャケット15(15a、15b)は、処理空間S 囲むように炉壁11(11a,11b)の両端部にそれぞれ 設けられ、それぞれ冷媒Cが供給される供給 15a1,15b1が備えられると共に冷媒Cを排出する 出口15a2,15b2が備えられている。なお、冷却 ャケット15a、15bは、直接的には連通せず互 に独立している。
加熱装置2は、平行床部12bに支持されて、容 器胴部12内に収容されている。この加熱装置2 は、車輪21の設けられた箱状断熱材22と、ヒ タ26と、炉床27とを備えている。
車輪21は、箱状断熱材22によって構成される 加熱室Rが平行床部12b上を炉本体1の中心軸方 に移動することができるように、箱状断熱 22の床板22a(後述)の下面に取り付けられてい る。
箱状断熱材22は、セラミックファイバ製で 加熱室Rを構成する。すなわち、加熱室Rは、 車輪21が設けられる床板22aと、開口部12a側に けられた正面壁22bと、この正面壁22bと対向 るように設けられた背面壁22cと、炉本体1の 中心軸に沿うと共に互いに平行となるように 設けられた側面壁22d、22eと、天板22fとから構 成され、被処理品Wを収容可能である。
なお、この箱状断熱材22には、加熱室Rの温 を計測するための熱電対(不図示)が備えら ており、この計測信号が制御装置8に伝送さ る。
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また、正面壁22bには、被処理品Wの搬入搬 出口23aが形成されると共にこれを開閉可能な 加熱室扉23bが設けられている。さらに、床板 22aには冷却ガス導入口24aが形成されると共に これを開閉可能な床蓋24bが設けられており、 天板22fには冷却ガス排出口25aが形成されると 共にこれを開閉可能な天蓋25bが設けられてい る。
床蓋24bは、炉外の下部に設けられた空気 シリンダ24cによって鉛直に駆動され、また 天蓋25bは、炉外の側部に設けられた空気圧 リンダ25cによって水平に駆動される。なお 加熱室扉23bは、不図示の開閉装置によって 閉される。
このように、搬入搬出口23aを加熱室扉23b より閉塞させた状態において、床蓋24b及び 蓋25bを閉じることにより加熱室Rが密閉され ると共に、床蓋24b及び天蓋25bを開けることに より加熱室Rが外部と連通する。
ヒータ26は、被処理品Wが加熱室Rに搬入され た場合に被処理品Wを囲むように加熱室Rに設 られている。
炉床27は、炉本体1の中心軸に平行な複数の 状部材から構成されており、床板22aに設け れている。
冷却ガス供給装置3は、処理空間Sに冷却 スGを供給するもので、減圧装置4は、開口部 12aから流入した外気を排気して処理空間Sを 圧する。
冷却装置5は、送風機51と熱交換器52とを備 ている。
送風機51は、冷却ガスGを送風する冷却ファ 51aと、この冷却ファン51aを回動させるファ モータ51bを備え、冷却ファン51aが炉内に位 し、ファンモータ51bが炉外に位置するよう 、炉本体1の上部に設けられている。
熱交換器52は、内部に冷媒Cが流れる複数の 熱管を備え、この複数の伝熱管が冷却ファ 51aを囲むように、炉本体1における炉内上部 に設けられている。
冷媒循環系(第一の冷媒循環系、第二の冷 媒循環系)6は、冷却ジャケット15と、熱交換 52と、冷媒槽61と、循環ポンプ62と、三方弁63 と、並列的に配置される冷媒冷却部64及び冷 加熱部65と、これらの間に順次配設される 管66(66a~66m)とから概略構成されている。
冷媒槽61は、冷媒Cの貯留槽として機能する ので、常に一定の冷媒Cが貯留されている。 なお、本実施形態においては、冷媒Cとして イルを用いている。
この冷媒槽61には熱電対71が備えられている 。この熱電対71は、冷媒槽61に貯留した冷媒C 温度を計測し、それに基づく信号を制御装 8に継続的に供給する。
循環ポンプ62は、配管66aにより冷媒槽61と連 通し、冷媒槽61に貯留された冷媒Cを配管66bに 送出する。
三方弁63は、電動式で、配管66bと、冷媒冷 部64に連通する配管66cと、冷媒加熱部65に連 する配管66dとが接続されている。すなわち この三方弁63を動作させることにより、循 ポンプ62から送出された冷媒Cの系路を配管66 c又は配管66dのいずれかに切り換えることが きる。
冷媒冷却部64は、配管66cから流入した冷媒C 熱交換を行って冷媒Cを冷却するもので、こ の冷却された冷媒Cが流出する配管66eと連通 る。
冷媒加熱部65は、配管66dから流入した冷媒C 熱交換を行って冷媒Cを加熱するものであり 、この加熱された冷媒Cを流出する配管66fと 通する。
配管66eと配管66fとは、連通して一つの配 を構成した後に、ジャケット15aの供給口15a1 に接続された配管66gと、ジャケット15bの供給 口15b1に接続された配管66hと、熱交換器52に接 続される配管66iとの三つの配管に分岐する。
エコランプはどのように動作しない
そして、配管66g,配管66hからそれぞれ冷却ジ ャケット15a,15bに流入した冷媒Cは、処理空間S を囲繞する冷却ジャケット15内を流れた後に 排出口15a2,15b2からそれぞれ配管66j,66kに流入 して、これら配管66j,66kと連通する冷媒槽61に 貯留される。同様に、熱交換器52の伝熱管を れた冷媒Cは、配管66mを介して冷媒槽61に貯 される。
このようにして冷媒循環系6が構成されてい る。
制御装置8は、加熱装置2と、冷却ガス供給 置3と、減圧装置4と、冷却装置5と、冷媒循 系6の循環ポンプ62の動作を制御する。
例えば、制御装置8は、被処理品Wの加熱処 時において、ヒータ26に通電して所望の温度 まで被処理品Wを加熱し、また、冷媒Cが冷却 れるように循環系路を配管66cとすると共に 媒冷却部64を作動させて冷媒Cを冷却する。 様に、冷却処理時において、炉内温度より 設定温度が高い場合、制御装置8は、冷媒C 冷却する。なお、加熱処理及び冷却処理の 度や時間は、被処理品Wの金属の種類及び熱 理の種類によって適宜変更される。
この制御装置8は、被処理品Wの冷却処理 から新たな被処理品Wの装入を完了させるま の間、冷媒Cの温度が設定温度tよりも低い 合に冷媒Cを昇温させる。具体的には、三方 63を動作させて冷媒循環系を配管66dに切り えると共に、冷媒加熱部65を作動させて冷媒 を加熱する。なお、この冷媒Cの設定温度tは 一般に炉本体1の内表面の結露を有効に防止 することができる温度(外気温を10℃程度上回 る温度)に設定されている。また、外気温の 報は炉外に設けられた温度センサ(不図示)か らの出力信号として制御装置8に供給される
さらに、この制御装置8は、ロック機構制 御部81を備えている。このロック機構制御部8 1は、被処理品Wの冷却中に炉扉13を閉塞する 共に冷却後に冷媒Cの温度を設定温度t以上、 かつ、所定の時間Tで保持した場合に炉扉13の 閉塞を解除する。
次に、上記構成からなる単室型真空熱 理炉Aの動作について説明する。図3は、この 単室型真空熱処理炉Aの処理工程の一部を抜 したものである。なお、以下の説明では、 数の被処理品Wの焼き入れを行う場合につい 説明する。また、この熱処理前の直近の熱 理からは十分に時間が経過して、炉内温度 外気温と同一となっており、冷媒Cは常に冷 媒循環系6を循環しているものとする。
まず、炉扉13を開いて開口部12aを開口し 加熱室Rを外部に露出させて、加熱室扉23bを き搬入搬出口23aを開口する。
次に、被処理品Wが炉床27と略同一の高さ 載置された装入抽出台を開口部12aに向き合 せる。そして、被処理品Wを加熱室Rの内部 搬入した後、装入抽出台を開口部12aから離 させると共に加熱室扉23bを閉じて、搬入搬 口23aを閉じる。さらに、フランジ部13aをフ ンジ部12cに重ね合わせるように炉扉13を閉じ 、駆動機構14bによりクランプリング14aを締め 付け、容器胴部12を密閉する。
次に、減圧装置4を作動させて処理空間S 減圧する。この際、加熱室Rにおける床板22a 冷却ガス導入口24aと、天板22fの冷却ガス排 口25aとは、開口した状態である。そして、 定の真空度となった後に空気圧シリンダ24c, 25cを作動させて、床蓋24b、天蓋25bを駆動し、 冷却ガス導入口24a、冷却ガス排出口25aをそれ ぞれ閉塞する。
ドアが壁にぶつかるpartionの壁
次に、ヒータ26に通電することにより被 理品Wを所定の温度、かつ、所定の時間で加 する。この際、炉壁11及び熱交換器52がヒー タ26からの輻射によって加熱されることによ 冷媒Cの温度が上昇するので、冷媒循環系6 系路を配管66cとした上で冷媒冷却部64を作動 させて冷媒Cを冷却し、炉壁11を冷却する。
加熱処理後、再び空気圧シリンダ24c,25cを 作動させて、床蓋24b、天蓋25bを駆動し、冷却 ガス導入口24a、冷却ガス排出口25aをそれぞれ 開口させると共に冷却ガス供給装置3を作動 せて冷却ガスGを供給する(図2参照)。
同時に冷却装置5を駆動させて、冷却ガス Gを処理空間Sに循環させる。この際、冷却ガ Gは、熱交換器52の伝熱管内部に流れる冷媒C と熱交換を行うことにより冷却され、冷媒C 冷却ガスGから受け取った熱は、冷媒冷却部6 4により放熱される。なお、加熱室Rにおいて 、冷却ガス導入口24aから炉床27を通過して 却ガス排出口25aから排出されるように循環 る。
冷却処理完了を検知(ステップS1)した制御装 置8は、冷媒Cの温度を計測すると共に冷媒Cの 温度が設定温度tよりも高いか否か判断する( テップS2)。
ステップS2の判断が「No」の場合、すなわち 、冷媒Cの温度が設定温度tを下回っている場 には、三方弁63による冷媒循環系6の系路が 管66cであるか判断する(ステップS3)。
ステップS3の判断が「Yes」の場合には、 方弁63を作動させて冷媒循環系6の系路を配 66dの方向に切り換える(ステップS4)。本実施 態では、上述したように炉壁11及び冷却ガ Gを冷却するために冷媒循環系6の系路を配管 66cとした上で冷媒冷却部64を作動させていた で、三方弁63を作動させて冷媒循環系6の系 を配管66dの方向に切り換える。
ステップS4の後またはステップS3の判断が「 No」の場合には、冷媒Cを加熱して冷媒Cを所 の温度となるまで加熱する(ステップS5)。つ り、冷媒加熱部65で加熱した冷媒Cが冷却ジ ケット15に供給されて、炉本体1の内表面及 熱交換器52が直接的に昇温される。なお、 の際、冷却ガスGは、循環したままである。
その後、再びステップS2の判断を行う。
ステップS2の判断が「Yes」の場合には、 御装置8のロック機構制御部81は、所定の時 、冷媒Cが設定温度t以上であるか否かを判断 する(ステップS6)。なお、この所定の時間は 冷却ガスGが熱交換器52及び炉壁11に暖められ て、この冷却ガスGにより炉内温度が外気温 上となる時間が設定されている。
ステップS6の判断が「No」の場合には、再び ステップS2の判断を行なう。
ステップS6の判断が「Yes」の場合には、炉 が大気圧となっていることを前提に、ロッ 機構14の駆動機構14bを動作させてクランプリ ング14aの締め付けを解除する(ステップS7)。
ロック機構14が解除された後、炉扉13を開 けると共に開口部12aを開放し、加熱室Rの加 室扉23bを開いて搬入搬出口23aを開口させる( テップS8)。この際、炉本体1の内表面や熱交 換器52の他、加熱室Rやファン51aも設定温度と なっている。
その後、装入抽出台を再度炉床27に向き わせ、焼き入れ処理した被処理品Wを搬出す 。被処理品Wの搬出から新たな被処理品Wの 入までの間、制御装置8は、継続的に冷媒Cの 温度を設定温度t以上とするため、ステップS2 ~S5と同様の判断を繰り返す(ステップS9~12)。
つまり、開口部12aが開口している間は、 本体1の内表面や熱交換器52は、設定温度t以 上に保温されると共に、加熱室Rやファン51a 設定温度近傍の温度となっているので、炉 に外気が流入したとしても結露しない。
その後、新たな被処理品Wを加熱室Rに装 した後(ステップS13)、加熱室扉23bと炉扉13と 再度閉じて、上記と同様にして熱処理を開 する。この際、ヒータ26により被処理品Wを 熱しても、炉本体1の内表面や熱交換器52の 、加熱室Rやファン51aに結露が生じていない ので、炉内に水蒸気が発生することはない。
同時に、三方弁63による冷媒循環系6の系 が配管66cであるか判断し(ステップS14)、ス ップS14の判断が「Yes」の場合には処理を終 し、ステップS14の判断が「No」の場合には加 熱処理時に冷媒Cを冷却するために冷媒循環 6の系路を配管66cに切り換え(ステップS15)、 理を終了する。
新たな被処理品Wは、炉内に水蒸気が発生 していないので、その表面が酸化せず、また 、これによる着色も生じることなく、その熱 処理が完了する。
以上説明した通り、本単室型真空熱処理 Aによれば、冷媒循環系6に冷媒Cを加熱する 媒加熱部65を備えるので、炉本体1の内表面 直接的に昇温される。これにより、炉本体1 の内表面の結露が短時間で効果的に防止され ると共に作業効率を向上させて良好な被処理 品Wを得ることが可能となる。
また、冷媒Cの温度を計測する熱電対71と 熱電対71の出力信号に基づいて冷媒加熱部65 及び冷媒冷却部64を制御する制御装置とを備 るので、加熱処理時と冷却処理時と分けて 適宜冷媒Cの温度を変更することが可能にな ると共に、冷却処理終了後から新しい被処理 品Wを装入するまでの間の冷媒Cの温度を変更 ることも可能となる。
また、制御装置8が被処理品Wの冷却中に 扉13を閉塞すると共に冷却後に冷媒Cの温度 設定温度t以上、かつ、所定の時間Tで保持し た場合に解除するロック機構制御部81を備え ので、炉内温度を所望の温度に調整して炉 体1の内表面及び熱交換器52以外の結露を有 に防止することができる。さらに、冷却終 後に炉内温度が所望の温度以上になる前に 誤って炉扉13を開けることを完全に防止す ことができる。
また、冷媒Cにオイルを用いているので、 水を冷媒として用いた場合に発生するスケー ルの蓄積を防ぐことができる。
なお、上述した実施の形態において示した 作手順、あるいは各構成部材の諸形状や材 、その組み合わせ等は一例であって、本発 の主旨から逸脱しない範囲において設計要 等に基づき種々変更可能である。
例えば、本実施形態では、冷却ジャケット1 5と熱交換器52とを冷媒循環系6として共通の のとして構成したが、これらを独立した構 としても構わない。
また、本実施形態では、三方弁63を設け 冷媒冷却部64と冷媒加熱部65とを並列的に配 して構成したが、三方弁63を設けずにこれ を直列的に配置してもよい。
また、本実施形態では、冷媒Cにオイルを用 いたが、これが冷却水であってもよいのは勿 論である。
また、本実施形態では、箱状断熱材22に車 21を設けたが、これは加熱室Rのメンテナン 性を向上するために設けたものであり、必 しも設ける必要はない。
また、本実施形態では、冷媒Cは絶えず冷 媒循環系6を循環している構成としたが、例 ば、被処理品Wの加熱処理中に熱交換器52へ 冷媒Cの供給を中断してもよいし、冷却処理 に冷却ジャケット15への冷媒Cの供給を中断 る構成としてもよい。
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